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DQancDWC
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制御空間を拡大するための機能が実装されています。 (ANCの基礎はこちらへ) (1)騒音源からの直接波のみを制御 (2)制御系伝達特性の反射波成分を除去 (3)最適な参照信号を抽出 (4)高サンプリング周波数 | |
最大制御システム構成 CASE(4−4−4) リファランス入力4、制御出力4、エラー入力4 のマルチチャンネル・アクティブ騒音制御をサポート | |
オンライン同定機能により制御系伝達特性は必要なし | |
Ex_Toolシステム構成 (1)DSP : RU−DQ13 1枚 (2)AD+DA : RU−AX84 2枚 (3)筐体 : 5スロット | |
プログラマブルな制御パラメータ (1)制御構成 : CASE(K−M−L) K,M,L ≦4 (2)ハウリングキャンセラH付き (2)サンプリング周波数 : 500Hz〜24KHz (3)カットオフ周波数 : 100、200、500、1K、2K、5K、10K、20KHz (4)制御帯域周波数(任意) (5)TAP数 : 8〜1024TAP (6)ステップサイズ・パラメータ (7)Leakage (8)システム同定ノイズレベル (9)システム同定回数 | |
制御アルゴリズム: Leaky Filtered-X LMS/NLMS 適応型FIR | |
ランタイム時の係数表示 | |
Windows/2000/XP/Vista | |
名称 : DQancDWC (RU-DQ13 Active Noise Control Direct Wave Control) |
入出力CH | サンプリング周波数 | C、T、H最大TAP数 | W最大TAP数 |
CASE(4-4-4) |
24KHz |
180 |
220 |
12KHz |
380 |
600 |
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4KHz |
1024 |
1024 |
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CASE(2-2-2) |
24KHz |
460 |
480 |
12KHz |
800 |
1024 |
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CASE(1-1-1) |
24KHz |
512 |
512 |
注)全フィルタ更新ON、ハウリングキャンセラON、リファランスキャンセラOFF
その他、条件によって最大TAP数で実行できない場合があります。
(1)制御スピーカの位置
騒音源の近くからリファランス信号(参照信号)を入力し、二次音源(制御音源)から逆位相信号を出力して静粛領域をつくるフィードフォワード型アクティブ騒音制御の場合、騒音源、二次音源、評価点は直線上に配置されることが望しい構成となります。 ダクト内のように騒音が平面波である場合には、騒音波面と制御波面を評価点(制御点)で合わせれば下流では静粛領域が保たれるので制御は容易です。 しかし三次元空間で制御を行うとき、音波が伝搬していく方向とは異なる方向から制御波面を当てたのではその波長の数分の一の領域しか効果が現れません。 また評価点以外では増音する領域がでてきます。 そのため制御音源は騒音源と評価点の直線上にあり、さらに騒音源に近い場所に配置されることが理想です。 よってアクテブ騒音制御装置の入出力遅延は、ノイズの伝搬速度を上回るように十分に小さいことが必要です。 そのためにはサンプリング周波数を高くしてアンチエリアシング・フィルタの遅延を小さくすることが重要な要素の一つになります。 サンプリング周波数を高くすると必然的に制御FIRフィルタのTAP長は長くなり、DSPのパワーもそれなりのものが必要になります。
また、制御音源がノイズ源から離れている場合でも、制御出力や評価点の数を増やすことにより制御波面を合成して騒音波面に合わせることができます。 Redec社のDQancDWCはそれらの要件を備えています。
ANC−Duo(新製品)はこの考え方に基づいた廉価版です。
「@騒音源から評価点までの経路」、「A制御スピーカから評価点までの経路」の二つの経路には、直接伝搬する直接波だけではなく、周囲の壁等に一旦反射して到達する反射波が多くの場合存在し、これらの反射波はアクティブ騒音制御に大きく影響します。
「@騒音源 -
評価点」に存在する反射波は上記「(1)制御スピーカの位置」で述べたように、制御音源が騒音源と評価点の間に位置しなくなり、反射波の進行方向とは異なる斜め方向からの制御することになるため増音領域ができたり、静粛領域が狭くなります。 騒音源から制御点までの直接波成分のみを制御することが制御空間拡大に有利となります。
「A制御スピーカ -
評価点」に存在する反射波は制御逆フィルタ長が長くなる方向に作用します。 騒音源から評価点間の特性をT、制御スピーカから評価点間の特性をCとすると、制御逆フィルタの特性Wは W=−T/C で算出されますが、Cに反射波成分が含まれるとWは極が含まれることになるため、WのTAP長が長くなり、サンプリング周波数を高くするのが困難になります。 下図ではT及びCに反射波が一つ有る場合のインパルス応答を示しています。 このときWのインパルス応答は無限に続く特性になります。
Redec社DQancDWCはこれらの反射成分の影響を取り除き直接波のみを制御する直接波制御アルゴリズムを採用しています。
騒音源が複数個ある空間で騒音制御しようとする場合、騒音源の数だけリファランス入力が必要になります。 下図のように騒音源が2個ある時、リファランス入力及び制御フィルタWが2個あれば評価点で消音ができることが分かっています。 しかし通常の場合、各騒音源から各リファランス信号入力までの伝達経路にクロストークがあります。 このクロストーク成分は制御逆フィルタ長が長くなる方向に作用します。 制御フィルタを算出する過程で、ノイズ源側の特性は制御逆フィルタの分母側の因数となり、クロストーク成分は極を形成するように働くからです。 クロストーク成分を無くし、リファレンス入力センサーに最も近い位置にある騒音成分だけを参照信号として入力することができれば制御逆フィルタWには極が無くなり、結果としてTAP数が少ないFIR係数を算出することができます。 各リファランス入力間にある相関成分から、騒音源に最も近い位置の成分のみ残し、他のリファランス入力から相関成分をキャンセルすることでクロストークの影響を無くすことができます。 下図ではクロストークがあるとき算出される制御フィルタWの係数と、クロストークの影響をキャンセルした後に算出したW係数を示しています。 クロストークをキャンセルするとW係数は単純なインパルスで表現できます。 クロストークによって長くなった成分は、制御点以外では通常悪影響を及ぼし、制御点拡大という観点から不利に働きます。
また、道路騒音制御のようなアプリケーションにおいて、障壁上に制御スピーカを並べる場合、ハードウェアの規模を考えれば、CASE(1-1-1)のシステムを並列にならべることが理想的なシステム設計になります。 しかしCASE(1-1-1)システムを単純に羅列してだけではお互いのシステムが干渉して安定動作ができません。 ここでリファランス間のクロストークをキャンセルすればこの問題は解決します。 さらにクロストークキャンセラにより、騒音源に最も近いリファランス入力を採用することができるので、「(1)制御スピーカの位置」で述べたことを実現していることになり、評価点に於ける制御範囲を広げることにつながります。 Redec社のDQancDWCは、クロストーク成分をキャンセルして最適リファレンスを抽出する機能を備えてたアクティブ消音装置を実現します。
通常の騒音制御では評価点マイク(エラーマイク)は、ある程度制御スピーカから離れた場所に配置しますが、制御装置全体のサイズ等の制約により、制御スピーカの近くにしか配置できない場合があります。 しかし制御スピーカの近傍に評価点マイクを設置した場合、下記の理由により 制御効果は評価点マイク近傍のみで、遠方での効果は期待できません。
a)スピーカ近傍では音圧駆動面としての構造やスピーカ支持構造物に影響を受け線形的に乱れているため、評価点マイクを遠方に配置した時とは性質的に異なり下流域を制御するためには使用できない。
b)3次元空間では音響パワーは距離の二乗に反比例して減衰するが、制御スピーカ近傍ではわずかな音響パワーで消音が可能で、遠方での効果を上げるだけのパワーを出力していない。
Redec社のEx_Tool上で動作するDQvmicはこの問題を解決し、コンパクトな制御システムを構成します。
手法: あらかじめ遠方に評価点マイクを設置し、この位置での二次伝達経路特性C(far)を計測します(この特性は制御中に多少変化しても問題無い)。 遠方で の音響伝達特性は直線位相のむだ時間要素(単純遅延)と距離による振幅の減衰で表せます。 このC(far)特性を制御スピーカ近傍に評価点マイクを設置した時の特性C(near)にバックシフトさせた特性を 新たに二次経路の特性として制御を行います。
この場合、制御スピーカ近傍の評価点マイクでは制御効果は現れませんが、C(far)を計測した遠方では制御効果が広範囲で現れます。 まさに仮想点を制御することができるのです。 このバーチャルマイク手法を用いると、制御システムをコンパクトにできるだけでなく、思わぬ副産物を得られることがわかっています。
騒音源、制御スピーカ、評価点マイクが直線上(制御ラインと呼ぶ)にあるとき騒音と制御音の伝搬は順方向に一致するので評価点マイクの下流域に制御範囲が広がり、最も総合的な音圧減衰制御効果を期待できます。 この制御効果範囲は評価点マイクの下流方向に無限に広がります。 しかし騒音源が移動し、制御出力スピーカと評価点マイクを結ぶ直線上(制御ライン)から外れる方向へ位置するとき騒音と制御音の伝搬が角度を持って交差するため、評価点マイク位置以外で増音区域ができ広範囲な制御効果が期待できなません。 評価点マイクを制御スピーカの近傍に配置することができれば、無限に広がる制御効果方向に位置する1点から比べると制御スピーカと評価点マイクの距離は極小距離と見なすことができます。 ここで騒音源が制御ラインから外れる方向に移動したとしても、制御スピーカと評価点マイクを構成する構造物は極小点と見なされるため、制御範囲は制御スピーカを対象点とする騒音源の点対称方向へと移動するだけで制御範囲の広さは維持できます。
最終更新日 : 2015年07月15日
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