|
ANC (Active Noise Control : 能動的騒音制御) の応用近年、 建設重機の低周波騒音への住民からのクレームは増える傾向にあります。 高周波数帯域の騒音は防音壁や防音シートである程度の解決は望めますが、低周波騒音は減衰することなく室内へ入り込みます。 建物 の陰に回り込み、窓ガラスを通り抜け、コンクリートの壁で反射を繰り返し重なり合うことで不快な騒音となり、近隣住民に精神的ダメージを与え健康被害をもたら す事があります。 一度空間に放射された低周波騒音への対策は困難を極めます。 下記写真は岡山大学病院 診療棟建築現場での逆位相騒音制御(ANC)システム(ANC-Duo)の応用例です 。
( 施工:清水建設株式会社)
その他の重機へのANC応用
ANC製品
ANCの基本 アクティブノイズコントロールの基本は、騒音を打ち消すために逆位相の音を制御スピーカーから出力することです。 実際には、騒音は時々刻々と変化しているので、それを打ち消す音もそれに応じて変化させなければなりません。 そのために騒音源に近い信号(リファランス信号と呼ぶ)や制御点(エラー信号と呼ぶ)の騒音を常に監視し、打ち消すために出す音(制御出力と呼ぶ)を計算により作り出しています。
このように相手に応じて変化させる制御を「適応制御」と呼んでいますが、高速なディジタル信号処理技術によって可能になりました。 アクティブ振動制御を行う場合も同様で、加速度センサからの振動信号をもとに適応型FIRフィルタで逆位相の信号をつくりアクチュエータに出力します。
マルチチャンネル化空調ダクトや自動車のエンジンノイズのようにシンプルな制御系の場合、ノイズ源が1点、制御出力が1点、そして制御点が1点として構成できます。 このような構成をCASE(1−1−1)と呼ぶことにします。 この場合、適応制御フィルタWは[リファレンス・マイク]→[ノイズ源]→[エラー・マイク]までのパスの伝達特性(ノイズが伝搬していくパスとは逆の伝達特性)を持つように適応しています。 この伝達特性(逆フィルタ)を求める 過程は、簡単な方程式を解く過程と同等です。 しかし ノイズ源が二つ以上になるとリファランス入力をノイズ源に合わせて増やす必要があります。 これは逆フィルタを作る過程はノイズ源信号、リファランス入力信号および 制御点における信号をパラメータとした連立方程式を解く過程と同様だからです。 連立方程式を解くためには方程式の数だけリファランス入力が必要となってくるのです。 しかしリファランス入力を増やすことは驚異的な演算能力を持ったシステムが必要となってきます。 RedecのEx_toolはマルチチャンネル・アクティブ・ノイズ・コントロールをサポートしており、リファランス入力 が最大4点までのリアルタイム制御を可能にします。 リファランス入力を4チャンネル、制御出力を4チャンネル、エラー入力を4チャンネルとした場合、この制御構成をCASE(4−4−4)と呼びます。 マルチチャンネル騒音制御システム |
最終更新日 : 2015年10月02日
|